こんにちは着物仕立て装々です。
今年は11月の前半まで単衣着物でも暑いくらいだったので暖冬になるかと思いきや数日前からとても寒くなりましたね。
夏があまりにも暑すぎて仕事をサボりがちだったのですが、
最近『紗合わせ』という着物を仕立てましたので仕立ての途中や完成した着物の写真を紹介したいと思います。
紗袷という着物を紹介します
紗合わせとは
紗合わせ はしゃあわせと読みます。
絽の訪問着に無地の紗の着物を重ねて一枚の着物に仕立てたものを紗合わせと言います
では実際に写真で生地を見ていきましょう。
↓こちらは同色の茶色同士を重ねた紗合わせになります。
紗袷はこのように茶色や黒の地味な色目の着物が多いような気がします。
↓こちらは最近発売された珍しい明るい爽やかな色の反物になります。
ゆりの柄が書いてある横筋の反物が絽の訪問着になります。
その上に紫の紗の薄い無地着物を重ねています。
高級な絽の訪問着の美しい柄を↓
わざわざ紗で隠してしまうという、チラリズム大好きな日本人の変態性を着物にしてみましたという感じの着物です。
白の紗合わせも粋ですね。
紗合わせはいつ着るの?
基本的に初夏の頃に単衣着物から夏の絽や紗などの透ける着物を着るまでのほんの短い期間に着る着物です。
ですので時期としてはゴールデンウィークあたりから6月ぐらいの1ヶ月くらいの間に着ます。
表生地を2枚重ねて、もちろんどちらの生地も表地なのでお値段的にはとてもお高いものになります(敬語w)
そんな高いものをたった1ヶ月ぐらいしか着れないというまさに鬼畜の贅沢品な着物です。
近年では暑い時期が長いのでひょっとしたら秋も着れるんじゃないかなと思っているのでこれから是非紗合わせブームが起きて欲しいですね。
今は基本的に初夏の柄が多いのでこれからは初秋や年間通して着れるような柄が増えていったらいいなと思っています。
お仕立ての方法
①まずは普通の着物と同じように地直しをします。
②そして訪問着なので絽の着物の柄合わせをしていきます↓こちらはおくみの柄合わせになります。
③訪問着と同じように裾線を切ってから袖、身頃、衽それぞれ絽と紗を合わせて印をつけます。
いつもは右身頃と左身頃一緒に印をつけますが、紗袷は片見頃だけで4枚あるので左右別々に印をつけていきます。
④縫い目を隠しながら縫っていきます。
まず先に3枚で縫って最後に後ろ身頃の1枚をしのびで縫い止めている感じです。
⑤くけ目も見えないように一番表になる紗の生地を拾わないように浮かせてくけていきます。
左手のまち針の下に指がつけて見えるのが分かりますか?
こんな感じでめくれるところは簡単にくけられるのですが、めくって指を入れられないところは命がけでくけていきます。
↓表から見る脇縫いはこんな感じ。くけ目がないのでスッキリと仕上がっています。
⑥2枚生地がずれないようにしつけ糸で一体化させてから仕立てていきます。
⑦左右共に仕上がったら背伏せで背縫いをします。
⑧褄下と裾をくけます。こちらも同じように絽の1枚だけをすくってくけていきます。
⑨襟付けは単衣着物と同じようにつけます。
完成で~す
まずは茶色い方の出来上がりから
↓こちらは左胸の柄になります。
左右から写真を撮ってみましたがこんな感じで見える方向によって柄の浮き出る感じが違って見えます。
この柄の浮き出方が紗袷の神髄です。美しいですね。
続いて紫の着物の完成です
上前衽です↓
衽付けのアップはこんな感じ↓質感が分かりますか?
豊満ボディーの方だったので脇の柄がずれていますが標準的な寸法の方は脇の柄も合わせられます。
紺はこんな感じ
真っ白もカッコイイ
中に着る長襦袢は絽の長襦袢
こちらはセットで仕立てました東レセオの絽の長襦袢です。
豊満ボディの方なので長襦袢も衽仕立てになっています。
茶色い着物とセットです。こちらのセットは袖丈が1尺5寸というちょっと長めのお仕立てになっています。
おしゃれさんですね。
後記
というわけで紗袷の着物の画像をご覧いただきました。
呉服屋さんが夏のバーゲンセールでいっぱい売ったみたいなのでまたお仕立てすることになりそうです。
紗袷が縫える和裁士さんはあまりたくさんいなくて、
実はね装々さん結構仕立て上手なんで(*´ω`*)へへへってことでまた紗合わせを仕立てしたら紹介していきたいと思います。
急に寒くなってきたので皆様風邪をひかないようにお気をつけください。
最後まで読んでくださってありがとうございます着物仕立て装々でした。バイバーイ。
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