こんにちは。
国家検定一級和裁士 着物仕立て装々です。
一年で一番寒い時期で指がかじかんでしまうのでお部屋がホカホカなんですが、さらに厚着でコロンコロンになっています。
この時期は脱いでもコロンコロンなのはなんででしょう。
ということで今回はフォロワー様からのリクエストにお応えしまして着物の身丈出しをする場合について解説します。
着物の身丈出し
先にご案内しておきたいのですが、足し布仕立てはエリート和裁士wで選ばれし勇者wwの仕事になります。
これは元の着物の仕立ては色々な縫い方がしてあるということ、色々な寸法から色々な寸法へと変則的なお仕立であること、着物本体と足し布のバランスをキレイに仕立てるのに技術がいるからです。
ということで申し訳ありませんが

個別のアドバイス、指導など一切受け付けておりません。
自力で頑張るか、ごひいきの和裁士にご依頼ください。
いじわるじゃなくてホントに難しいからごめんなさい。
まずは各場所の名称確認
さて、自力で頑張ってみようと思った皆さま、今回の解説で必要な着物の場所の名称はこちらです。
褄下(つました)は衿下
身八ツ口下は口下ともいいます。
先にcheckしておいてくださいね。
簡単な身丈出し
着物の胸のあたりに「揚げ」という縫い込みがあります。(写真の矢印部分)
肩から下に袖付け、身八ツ口、口下分下がったところにあります。
およそ肩から1尺くらいです。
これは着物によってつまんである寸法が違います。
長いものだと10㎝ほどつまんであります。少ないものだと全く揚げがないものもありますね。
揚げがたくさん縫い込んである場合はこの揚げを解くことによって身丈を長くすることが出来ます。
揚げだけで直す場合
1,衿を取る
2,衽の上の方と脇の揚げ下までを解く
3,揚げを解く
4,必要に応じて揚げを縫い直す
5,脇と衽を縫い直す
6,衿付け
となります。
揚げがない場合&揚げを解いても寸法が足らない場合は
別の生地を縫い込んで身丈出しをします。
今回はこちらの場合の解説をします。
下の足し布の場所
ここは着付けをするときに下の腰ひもをする場所ですね。
長くする着物丈の寸法から導き出します。

褄下+2寸+縫い代
衽の縫い代が衿の中にある場合は
衽を褄下の所まで解いて身頃のみを切ります。
衽も足らない場合は衽も切って足し布をします。
長くする丈が3寸までならここだけで足し布をします。
上の足し布の場所
上の足し布は前揚げがある部分から下に付けます。
着付けをしたときに帯の中になる部分ですね。

身八ツ口より下にするのは縫い代がゴロゴロしないようにする為と
体形によっては帯の中に隠れるぎりぎりのラインになるからです。
上の足し布は2寸まで入れることが出来ます。
豊満バストの方は
上の揚げ位置で2寸足すと帯揚げの上から足し布が少し見えてしまいます。
足し布は別の布を使わず、掛衿を使うのがおすすめです。
↑こちらは掛衿を上の足し布にしました。
共布だと少し見えても大丈夫なので3寸幅で入っていますね。
ちなみに右の衽から生地取して左の衽に足し布をしています。

右の衽と地衿は着たら見えないので生地取に最適です。
↑地衿から新しく掛衿を取り直して中の地衿に別布を入れたりもします。
↓なんちゃって掛衿のつまみ掛け衿でもOK。分かる方にはわかる写真を置いときますね。
完成はコチラ
衽ががっつり別布なんですけどね。
後はこんな感じ↓前と同じ高さにします。
着付けをするとこうなります
足し布と足し布の間がお端折りになるわけですね。
こんなデザインはいかがでしょうか
足し布を何にするか悩ましいところですが、上記の紫小紋とピンクの無地着物はどちらも義母さまの着物を受け継がれたものです。
そしてコチラ↓
おばあさまのお着物&おばあさまの小紋&お客様のお気に入りの生地のコラボです。
もう完全に深い趣味の世界ですね。よく見ると袖口布の色も左右で違うんですよ。
左だけ黄緑色なんです。
着物を見ただけで思い出して嬉しくなる一枚って本当に素敵ですね。
生地さえあればどんな風にもお仕立てしております<m(_ _)m>
後記
ということで足し布の解説をしてみました。いろいろな足し布の方法の中の1パターンだと思ってくださいね。
着物本体の縫い代、足し布の縫い代、反物から仕立てる場合の裾の縫い代などいろいろ考えなくてはならないのですが、ぜひ一生懸命自力で頑張ってください。
大切な事なのでもう一度言いますね、

個別指導はしておりません<m(_ _)m>
あ、あとよくお問い合わせをいただくのですが和裁全般について和裁教室、個別指導もしていません。
すみません。自分が縫うのが大好きな和裁ヲタクなもので(*’ω’*)
時々Youtubeライブをしていましてフリートークの時間がありますのでそこでご質問いただきましたら解説します。
足し布参考になったわ!さっぱり意味が分からないわ!という方はぜひ↓装々さん発案のmonokimi和装ブラップの記事もぜひご一読ください。
びっくら大好評の為、時々欠品しておりますが定番商品として販売していくつもりで増産をしていすのでよろしくお願いします。
今年の夏には冷感素材の和装ブラップも販売予定です!

最後まで読んでくださってありがとうございました。着物仕立て装々でした。バイバーイ。
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