袋帯や名古屋帯をたくさん洗ってみた じっくり解説します
国家検定一級和裁士がYouTuberになってみた。
着物仕立て装々です。
今回はお家で出来る帯の洗い方と注意点をじっくり解説したいと思います。
Youtubeの動画で紹介するために30本ほど帯を洗ってどうなったかを紹介しています。
ぜひご覧ください。
Youtube動画で見る↓
リメイク前の帯を洗う前に 注意点!!
まだ着用する帯は絶対にお家で洗わないで下さい。
①基本的に帯は家で洗うように作られていません。
繊細な絹糸や金や銀、プラチナなどが織り込まれていたり
絵画のように絵が描かれています。
更に帯の中には帯芯が入っています。
帯芯は三河木綿や不織布のモノが多く 中綴じで縫い付けてあります。
お家で洗ってしまうと 帯の生地と帯芯が別々に縮んで釣り合いが悪くなったり
中綴じがよれたりしてしまうと きれいに帯結びが出来なくなってしまいます。
②一番最悪なのは、カビの発生です。
帯は分厚いので乾きにくく、中の芯までしっかりと乾かないとカビが発生します。
カビはタンスの中で他の着物や帯にも写ってしまい、タンス内全滅の恐れがあります。
特に黒カビは、後で洗いに出しても取ることができませんので、注意してくださいね。
まだ使う帯の洗いは専門家にお任せしましょう。
簡単な帯の洗いは大体5,000円前後が相場だと思います。
リメイクで使う帯の洗い方
帯の刺繍の裏はこのようになっているので絡まったり切れたりしないように 先に解かずに このまま洗います。
まずは洗面器やタライにお湯を入れます
お湯の温度は40度位がいいですね。
多くの帯は絹製でたんぱく質でできているので
人間の体と同じです。髪の毛や体を洗う感覚で洗っていきますので、ちょうどお風呂位の温度がいいと思います。
水でもいいですが、お湯の方が汚れ落ちはいいように思います。
色落ちに関しては、お湯でも水でも 落ちるものは落ちるという感じです。
お湯を貯めたら帯の端を浸けてみます
帯の手の方(柄が短い方)がいいですね。もし洗うのに失敗しても 他の部分を洗わずに作品を作る事が出来ます。
帯によって色落ちや柄落ち、しわになる具合が違いますので、いきなり全部お湯の中にぶち込まないで、そっと浸して帯の変化を確認してくださいね。
端を浸けてみて色落ちをチェックします
色が落ちるものはどれだけ洗っても色落ちは収まりません。
色が剥げて安っぽい生地になってしまうので
このままのそっと溶けてゆくように乾かして洗わずに使うか、専門のお店で洗ってもらってください。
帯に大きな変化がなければ、お湯の中に帯を入れていきます。色落ちするものはチェックの段階で洗うのをやめるか手早く湯通しを一回だけして終わります。
帯を丸めてはいけません。
乾いた後もシワシワでシワが取れなくなっています。
このように↓ 蛇腹折りにして表面についたホコリや汚れを浮かせます。
帯がお湯を結構たくさん吸うので
途中でたし湯をします。帯に直接ジャージャーかけないほうがいいですね。
装々さんは洗剤は入れません。
お洒落着洗いの洗剤を入れると化学反応が起きて色が悪くなるのを防ぐためと、さっさと洗って乾かしたいので、すすぎの手間を省くためです。
手洗いでの洗剤のすすぎは、2~3度では洗剤残りが気になります。何度もすすぐと帯を痛める原因になりますので、装々さんは湯通し洗いをしています。
基本的に絹は水で洗うものではないので早く終わらせてダメージを極力減らします。
そもそもお洒落着洗いの洗剤では、古い汚れは落ちませんので、湯通しをしてチリやホコリ、汗を流すという感覚です。
お湯を変えて押し洗いをします
色落ちしない帯はお湯を変えてすすぎをします。
強くギュウギュウ押さずに軽くマッサージするくらいの感覚です。
繊細な生地なので力まかせについてしないようにしましょう。
水切りをして洗濯機で脱水をします
このままでは乾かないので洗濯機で脱水をします。
柄が内側になるように綺麗に洗濯機に入れます。
洗濯ネットに入れると帯の偏りで回らないことがあるのでそのまま入れます。
洗濯機のおしゃれ着モードの脱水で20秒ほどかけます。
グルングルンかけると縮みやヨレ、シワになるので気を付けて下さい。
短時間で結構水切りできますよ。
ハンガーなどにかけて乾かします
柄が下向きになるようにして色焼けしないようにします。
直射日光が当たらない日陰でしっかりと乾かしてくだい。
真冬や梅雨時などは除湿機や布団乾燥機を使いますが、お天気のいい春や秋に作業するのがオススメです。
洗った帯は早めに解いてアイロン掛けをして
熱殺菌でカビが発生しないようにします。
帯の解き方は別の動画で紹介しています↓
【帯をリメイクする時に】名古屋帯と袋帯の下準備の方法 誰でもわかるようにじっくり解説します 字幕あり How to make a bag with a kimono band
帯を洗った後のまとめ
洗い終わった帯は帯によって若干違いますが、シワがよったり ちょっとフカフカになったりします。リメイクする前にアイロンや押しをしてしわ取りをしておきましょう。
帯の色落ちについて
帯はお湯に漬けると色落ちする物があります。
黒や青の帯は色がよく落ちます。オレンジの帯も色落ちします。
いくつも洗って見ましたが青とオレンジは染料が溶けやすいので色落ちしやすいと思います。
色落ちしやすい帯は一度お湯に通して2回目のお湯を変えずに乾かします。
↑こんな感じで色落ちするのですが、何度洗っても全然治らず、だんだん生地がゴワゴワになってきてしまいます。使えなくなってしまうので何度も洗わず、さっさと洗うのをやめて乾かします。
実際に動画内で何度か洗っていますのでご覧ください↓
黒、青、オレンジの帯は基本的に色落ちするので 洗うかどうかは皆様のご判断にお任せします。
ちなみに何度もお湯に通したので大分帯が縮んでしまいました。
ウールの名古屋帯は洗えます
最後になりましたがウールの名古屋帯は色落ちのチェックをして洗濯機にエマールをぶっ込んでおしゃれ着モードで洗ってしまいます。
勇気のある方は試してみてください。
洗わない方がいい帯の特徴
柄が上から貼ってある帯は洗うと柄が溶けてなくなってしまいます。
このような感じの名古屋帯は少し前に流行りました。モダンで素敵な柄や色で洋服にも合わせやすいので リメイク作品の使いたくなりますが、洗わずにそのまま使った方がいいと思います。
どうしても気になるようでしたら 固く絞ったタオルで軽くふいてもいいかもしれません。
という結果になりました。
このサイトや動画を見てリメイクする時に帯を洗うかどうかは皆様のご判断にお任せします
帯によって染料や素材が様々ですので、
自己責任でお願いします。
大切な帯は専門家に洗ってもらうようにしてください。
最後に今回洗ったこちらの3本の帯を使ってバッグを作ってみました。
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着物仕立て装々でした。
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