こんにちは。国家検定一級和裁士、着物仕立て装々です。
気が付けば昼間はとても暖かく春の日差しが暖かくなってきました。一年で一番忙しい時期の装々さんですが、忙しいほど他事したくなる宿題の法則発動。
ということでただいま深夜3時ですがやっとブログがかき終わりました。(なにやっとんねん)
今回は最近装々さんがお客様のご注文でお仕立てした昼夜帯が可愛かったのでついでに写真をいっぱい撮りましたので昼夜帯の作り方を解説します。
昼夜帯の作り方解説
昼夜帯って何?
まずは昼夜帯の解説です。
昼夜帯は江戸中期に庶民、主に町娘に流行った帯で、みんなのアイドル水戸黄門のお銀扮する由美かおる様をイメージすると浮かんでくるあの裏が黒い帯のことです。
表が明るく「昼」そして
裏が黒綸子(少し艶のある生地ですね)で暗いから「夜」なのだそうです。
昔リバーシブルという言葉がないときに思いついたのが「昼夜」なんて何とも粋ですね。
生地を袋状に縫って芯を入れたもので、自分で簡単にお仕立てできます。
金襴一杯の生地で重たい芯が入った武家や豪商の娘さんの帯は固く、職人が仕立てていたと思います。
帯が硬いので文庫やお太鼓などきっちりした締め方が出来て、柔らかい昼夜帯は角出しでふんわり締めていたのでしょうね。
そう思うと重たい生地は富の象徴だったのが納得です。
反物って長さが決まっているので昔は重さが表示されていました。
より重たいほうが良い(分厚い)生地というわけです。
さて話が逸れてしまいましたが昼夜帯の作り方を解説します。
昼夜帯の材料
帯地
帯にしたい生地 4〜4.5m×38cm位 表裏各1枚ずつ
帯芯
袋帯用の帯芯を使います。
ミシン糸
中綴じ糸
ぶっちゃけ見えないのでどんな糸でもよいのですが、
中綴じ糸は絡みにくいこちらの糸がおすすめ。
半衿付けにも重宝しますよ。
ちなみに装々さんはカタン糸で中綴じを入れます。
袷着物の中綴じ用の糸ですね。別に使いやすくはないですw
道具
ミシン
アイロン
定規
チャコ
ハサミ
縫い針
まち針、又はクリップ
指ぬき
作り方はここから解説↓
裁断
帯にしたい生地をそれぞれ4〜4.5m×38cm に切ります。
着物の反物なら幅はそのままで良いので34cmで出来上がるように縫い代を調整するでやんす
表裏2枚ともピッタリ同じ長さと幅に揃っているとキレイに仕上がります。
着物地を2枚使う場合で、幅が違うときは狭い方に切り揃えてもいいですね。
帯芯は芯によって幅が違いますので幅広の物は34cmになるよう長細ーく切って下さい。
印付け
帯の短い辺は1.5cmの縫い代に。帯幅は出来上がり寸法+5mm(きせ分)で印を付けます。
ミシンの目盛りで縫える方は印付けはいらないですね。
昼夜帯の作り方手順
まず表布と裏布を中表にして重ねます。
短い幅の方を1.5cmの縫い代で片方縫い、両方の耳側の長い方も2枚そろえて縫います。
装々さんは今回着物の反物を使いましたので少し柄のセンターをずらすために
1.5cmと2.5cmで縫ってあります。↓写真
表地をコの字に縫ったら帯芯を下の写真のように針打ちします。
この時に短い辺の縫い目よりも1cmほど控えて針を打ちます。左右は縫い目と平行になるようにしてください。
芯を包むように縫い代を折り、縫い代と帯芯だけに針を打ちます。↓
縫い代を開いてみましょう↓表布側から見るとこんな感じで
芯側から見ると↓こうなります。縫い目より1cm重ねっていますね。
中綴じ糸で縫い代と帯芯をざくざく縫い留めます。3cm位の間隔がいいと思います。
中綴じはつっぱりやすいので糸を緩めにするとよいですよ
縫い代と芯だけを縫わないと出来上がったときに中綴じ糸が見えるので注意!
↓左右の長い方も縫い代と芯を縫い留めていきます。写真の赤矢印部分は縫い目よりも深く折れている部分の拡大です。
短い辺は1cm、長い辺は2~3mmきせが掛かるようにすると綺麗に出来ます。
こちらも同じ様にきせを掛けながら縫い留めていきます。
↓縫い目よりも内側に帯芯の布端が来るようにします。
角はこのようになります↓綺麗に折っておきましょう。
最初は縫い代を見ながら縫い留め
途中から芯側から見た方が縫い留めやすいかもしれません。(1本目)
縫い終わりは4cmほど手前で終わっておきます↓
反対側の布端よりも2cm控えたところで帯芯を終わらせておきます(切ってOKです)
ここは返し口になるのでこのまま開けておいてください。
長い方の2本めの中綴じを入れます。
こちらもきちんときせを掛けておきます。写真の赤い矢印です。こっちの方が見やすいですね。
2本目は帯芯と表布の間にの中に指を突っ込んで上に乗った縫い代を縫い留めますので少し縫いにくいと思います。
ここは縫いにくいから表布や芯の変なところを引っ掛けないように気を付けて。
中綴じをコの字に縫えたらアイロンできせを掛けます。
きちんと帯芯の端と揃えてアイロンをかけると綺麗です。
新しいティファールのアイロン買ったんだ~w
返し口から表に返します。手荒にすると芯がズレるので優しく、そして手早くするのがポイント。
角もしっかり出しておきます。
表からアイロンがけをします。
黒い絹の場合は当て布をしてくださいね。
突き合わせにアイロンがけをすると↓こうなります。
返し口を帯芯に合わせて折ります。しっかりとアイロンで潰しておきましょう。
↓帯芯とピッタリの所で折りますよ。
返し口の縫い代と帯芯を中綴じで止めます。ここも表に縫い目が出ないように気を付けてください。少し縫いにくいと思います。
返し口を突き合わせに折って↓
コの字くけにして縫い閉じます。
少し内側を縫うと出来上がりが綺麗です(努力目標)↓
最後に仕上げをしたら完成でーす。
昼夜帯完成でーす
角出しにしてみた
二重太鼓
リボン太鼓で
リバーシブルの魅力全開ですね。
関連動画
名古屋帯の作り方
半幅帯の作り方
後記
ということで昼夜帯の作り方を写真で解説してみました。
この季節は着物民の皆さまが年末年始セールでお買い上げになった反物が悉皆屋さんの湯のしやガード加工が済み、
そろそろ和裁士の元へとお仕立ての注文がやってまいります。
年度末に呉服屋さんの決算も相まって1年で1番忙しい時期に突入中です。
近年では成人式は早撮りすることが多いので振袖の注文は割と時期が集中することは少なく、実は年末よりも年度末のほうが忙しい装々さんです。
というわけで毎年年末辺りから3月位迄新規のお仕立てのご注文を受付けておりません。ごめんなさいm(_ _;)m
桜が咲く頃には再開したいと思います。
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最後まで読んでくださってありがとうございました。着物仕立て装々でした。バイバーイ。
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